東野 圭吾 (著) -“手紙” (文春文庫) 漱石の現代版「こころ」!!-自信を持ってお勧めできる書!!

あなたは
最近本気で相手に
ラブ・レター=手紙
を書いた事がありますか?

とか言う私も
あまり書く事はありませんが,
手紙というと好きな
異性への恋文をまず連想する方も多いのでは
ないでしょうか?

しかし本気で綴った=ラブ・レター(Love letter)
は昔から異性相手に想いを伝える手段だけではなく,
父から娘へ母から子供達へ,
祖父母から孫へそして兄弟へと,
直筆の手紙総てはLove letterであると云えそうですね。

21世紀の現代は,
「手紙」という存在は実質を持っていて
貰った方も煙たくて重過ぎる事があるかも知れない。

そうした「手紙」という実存在を軸に,
主人公を含めた登場人物達の
凄まじい「魂」が発露するのが本書です。

本書は,
例えば夏目漱石の「こころ」を
少年時代に読んだとき
の様な感銘を受けました。

時代は変り,
本書の登場人物は現代社会で
まさに生きた存在です。

誠にお恥ずかしながら,
ずっと気になっていた
著名な作家でおられる
東野圭吾氏の作品を初めて読ませて頂きました。

私も歳なので,
過去数万冊は小説も読んできておりますが,
久しぶりの手応えのある傑作といえそうです。

近年の自分は,
まるで防犯カメラやドライブレコーダー
の様にカメラ目線で本を読み始めてしまう癖があります。

先入観なしに,
しっかりと受け止めたいという意図は勿論あります。

最初は単調でしたが,
数十頁程から!!?
が起きました。

読み進めてゆくと,凄い!!
いつの間に,引きずり込まれていました。

主人公は物凄く
めちゃめちゃに格好いい青年です。
才能もある。
そして何よりもハートが物凄い!

そして,あまりに魅力的な女性達が登場します。

そして手紙の主・・。

色々な人物が登場しますが,
どの人間も凄く人間臭くて,
はかなくて,もろくて,魅力的だった。

そして主人公がなんと不器用な事か!

おいっしっかりしろ!とエールを贈りつつ
苛立ちながら彼の次の行動が知りたくて,
惹きつけられている自分を
感じながら,当事者達のことふと冷静に考えれば,
この場面ではしかたがない,というリアリティもある。

この小説に登場する人物達はこの日本
に実存在として必ず存在する。
本書の主人公の青年も手紙の主も,そして彼女達も誰も彼もが。

当方は日本の裁判員制度を経験し,
古くからノンフィクションの書籍を多数読む者として
この作品に登場する人物は完全に実在していると
肌で感じた。

中盤から最後まで一気に読み通した時,
我に返れば,朝の明星をベランダの外で垣間見た。

普段は目が悪い為に常備薬(数種類の目薬)
を挿しながらの最近の読書スタイルですが,
ぼろぼろと涙が流れ,目薬を差す必要がないという
サプライズもあった
作品でした。

急停止したかの様なラストのエンディング・・。

強い余韻となって心に残る傑作です。

お勧めです

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